芸術と美術の違いとは?その定義やアートとデザインの違い

芸術と美術の違いとは、何かわかりますか?

美術というと、基本的に何か絵画や彫刻といった視覚的、空間的な美のことですよね。

また、芸術とは、その美について表現しようとする活動のことになるので、美術とは芸術の中に含まれるものだと判断されるでしょう。

そこで、芸術と美術の違いについて、その定義やアートとデザインの違いなどについてもご紹介いたします。

芸術と美術の違いとは何か?

ネット上の辞典で調べたところ、「美術」と「芸術」は次のように書かれています。

 

【美術】

視覚的、空間的な美を表現する造形芸術のこと。

絵画や彫刻、建築、工芸などを指す。

明治以後は、広く文学や音楽も美術に含まれるとされる。

 

【芸術】

ある材料や様式を用いて美の追求や表現を求める人間の活動のこと。

さらに、それによって生みだされた絵画や彫刻、建築などを「空間芸術」、音楽や文学は「時間芸術」、演劇や舞踊といった「総合芸術」と言い表す。

 

 

これによると、美術とは一般的に絵画や彫刻を指し、一部に建築や工芸を含みます。

芸術は、美術による媒体を通して鑑賞する者に対して、思考や感覚をうったえかける行為を指すものと考えられます。

イメージ的には、美術は「自分以外に感動や共感を促す行為」であり、芸術は内にある情熱をぶつける行為と表現できるかもしれません。

アニメや漫画は芸術とは言えないとされてきましたが、受け取る側の感じ方によっては充分芸術たり得るものと言えるでしょう。

芸術と美術の違いについて教えて!

「美術」はもともとは絵画や彫刻のことを差していることが多かったのですが、近年はその垣根を超えた「空間アート」や「メディアアート」など技法や形式のバリエーションが広がり続けています。

芸術とは元をたどれば人類の古い歴史の中で発明発展した「音楽・演劇・美術」などを大きなカテゴリーに入れたもの。

「美術」は「芸術」の一つであるとも言えます。

また、視点を変えると「現代美術」と言われる分野もあります。

現代美術では音響やパフォーマンス・文字表現・アトラクションなどの体験型作品・通信技術を応用、駆使したものなど新しい技法が生まれ続けています。

「美術とは何か」という問いの答えは、歴史とともに広がりを持って変化し続けているのです。

芸術と美術の定義とは?その違いについて

【芸術の定義とは】

一言で言うと芸術とは「表現の一つ」と言えます。

絵画・音楽・造形・文学など、それぞれが表現の一つの手法です。

では、その表現が芸術的かどうかを考えるとき、次の2点を抑えていることが「芸術的表現」として必要なのではないかと思います。

「これまで誰も思いつくことがなかった新しい表現である」

「国や時代を超え、美しいと感じさせてくれる表現である」

【美術との違いとは】

例えば絵に関して「芸術」と「美術」の違いを考えてみましょう。

美術はその字の通り「美」を求めるもので、表現方法の新旧は関係ありません。逆に伝統的な表現を引き継ぐものが多いかと思います。

紙やキャンバスの上に的確に表現することが求められ、人物が描かれていれば「人間が描かれてる」と認識できるものである必要があります。

つまり美術的表現は、客観性が高く、教育することによって技術を継承するいことは可能です。

しかし、芸術表現は基本的に主観的なものであり、人に教えることが難しいものも多いのです。

芸術作品の中には「何を描いているのかわからない」と言われることもよくありますよね。

アートとデザインの違いとは

「アート」とは、それを作り出すアーティストの感情や感覚を「表現すること」です。

目的の手段よりもはけ口のようなもの。何かを伝えたいというよりは、作り手の感情表現が目的とも言えます。

それゆえ万人に理解されるものではなく、逆に理解してもらおうとして作らないことも多いでしょう。

アート作品とは、アーティストの「感情そのもの」の具象化です。

そして、見る側がそこに込められた感情を「正しく」受け取る必要は必ずしもないのです。

高額な価値が付けられることがあるアート作品ですが、多くのアート作品は利益のために制作されたものではなく、アートとして作られたアートではないでしょうか。

例え売れるものではなくとも、ただ感じたことを形にしてみた。そうしなければ気が済まなかったから表現した。というように。

アート作品が認められ、価値が付き販売され利益を上げることは良いことではありますが、それは必ずしもアーティストの目的とは限りません。

一方「デザイン」とは、アイデアや意見を伝えることが目的であり、意図が正しく伝わらなければデザインとして「失敗」と言えます。

そして、デザインはいわば「商業化されたアート」であり、本質的に報酬が発生するものであるといえるでしょう。

アートと芸術は何が違うの?

美術という前提があって、芸術が生まれ、やがてアートが誕生する。

そんな流れが自然であると考える人もいます。

では「アート」とは、美術や芸術よりも薄っぺらなものなのでしょうか?

おそらく、音楽でいえば最初にリズムがあり、クラシック音楽が生まれ、ポップスが続き…と次々と新たなジャンルが生まれています。

それらはの軽重を安易に比べることはできません。

アートは長い芸術の歴史という基礎があってこそ誕生し成り立つもので、芸術を知らない人間が作ったものはアートではないのかといえば、そうとも言えません。

アートと芸術の違いとは、受け取る人の数だけ答えがあるのかもしれません。